昨今の新型コロナウイルス肺炎に端を発したデマが拡散し、多くの人が踊らされています。
(「デマ」とは誰かが意図的に流すウワサ、と定義されていて、自然に広がるウワサは「流言(りゅうげん)」と言いますが、ここでは「デマ」で統一します。)
どこへ行ってもトイレットペーパーやティッシュペーパーも品切れで、ほかにも品薄になっている商品があります。
どうして人々はデマを信じてしまうのでしょうか。
また、広める人がいなければデマは流れないはずですが、多くの人が拡散の加担をしています。
どうしてそうなるのでしょうか。
その心理状態を読み解き、自分としては加害者側にならないように、どのように注意できるか考えます。
デマが拡散するメカニズム
不安
今回のコロナウイルス禍でのデマにせよ、災害時のデマにせよ、そこには一定の人々の心理状態が関係します。
これらの状況では、人の命や生活に直結する重要な事柄がデマのテーマとなります。
しかも信頼できる情報が非常に少ない時にデマが起こります。
では、一度発生したデマが拡散するのはなぜなのでしょうか。
まず1つに、人々の不安という心理状態が関係します。
人は、実は、信じたいことを信じる、という非常に大きな弱点を持っています。
例えば、漠然と怖いと思っていることがあれば、それが本当に怖がってよい情報を信じる傾向にあるということです。
自分の欲求や感情に合った情報を知らぬ間に欲している、ということになるのです。
ですから、不安な時、その不安をあおる情報から目を背けるのではなく、その不安を正当化する情報を信じてしまうのです。
人は強い不安を抱くと、人に話したくなる傾向があります。
一種の興奮状態になるのです。
誰かに話すことによって、その不安を正当化し、自分の不安を減らすという効果があります。
ですから、不安をあおるデマに直面した時、本当なのかどうかチェックせずに、心の赴くままに拡散させてしまうということになってしまうのです。
もう一つの心理状態が、デマを拡散させる一因になってしまいます。それは…
善意と伝達欲求の高まり
そうなんです、デマを拡散させる人には、悪意はないことが多いです。
返って、この情報を人にも教えてあげなければ!、という善意が働いてしまうのです。
トイレットペーパーが買えなくなる、と聞けば、自分が買い占めてよしとするのではなく、人にも教えたいという気持が生じるのです。
また、不安な時というのは、特に、新しい情報をほしいと思います。
何も知らされていない時、不安は高じます。
そこへ、新しい情報としてデマが飛び込んできました。
正しい情報なのかチェックすることもなく、新しい情報に飛びつきます。
そうすると、今度は自分が知ったことを他の人に知らせたいという伝達欲求が高まります。
日常のたわいもないウワサ話もこれに該当しますよね。
だれも知らないことを自分だけ知った時、それを自分のものだけにしようとするのではなく、他の人にもコッソリ教えたくなる。
そういう心理状態が人には働くのです。
それが、災害時や緊急時にも働いてしまうのです。
デマを拡散させないようにするには
昨今は、デマが拡散する土壌として、SNSの広がりがあります。
SNSを利用している人は、情報強者であることが多いです。
情報というものを得慣れている人であるはずなのです。
しかし、流れてきたデマの真偽を確かめもせずに拡散してしまう。
中には確信犯と言える人もいるのかもしれません。
一方、SNSを利用している人の中にも、情報に関して素人状態の人も多いのでしょう。
情報弱者と言われる人ですね。
そういう人たちは、先ほど述べた不安や善意と行った心理状態から、デマを拡散させてしまうのでしょう。
では、私たちはどうすればデマを拡散させたり、デマに踊らされたりしないで済むのでしょうか。
それは、次の一つに尽きます。
その情報の真偽を確かめる、ということを習慣にしておく、ということです。
絶対に新しい、しかし出所のわからない情報に飛びつくことがないように、普段から自分を律する必要があります。
自分を見つめ直すことが必要です。
・自分はウワサ話好きだろうか。
・新しいことを聞いたらとにかく人に言いたくて仕方がなくなるだろうか。
・信じたいことを信じていないだろうか。
こういうことを振り返ってみて、なにか当てはまりそうなものがあれば注意する事が必要になるでしょう。
他の人の行動を見て、不安が増幅しそうな時、正しい情報を探す習慣を身に着けなければなりません。
そのようにして、デマを拡散させたり、踊らされたりしないで済むことでしょう。
終わりに
人の振り見て我が振り直せ、とはよく言ったものです。
他人の失敗から学ぶ必要があるでしょう。
日頃から、自分のありようをしっかりチェックしておくならば、こういう緊急時に思わぬ加害者にならずにすみますし、また被害者にならなくてもすむでしょう。
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