あなたはご夫婦で、また友人や職場の同僚と、話が噛み合わないと思うことが多いですか?
しっかりコミュニケーションをとるべき人と会話が噛み合わないと、悲しいですし、それが続くとうんざりしますよね。
しかも、それが原因で、ケンカになってしまうことも多いかもしれません。
そんな時、役に立つかもしれないのが、「交流分析」という心理療法です。
この「交流分析」の中の、「自我状態」と「対話分析」について知ると、自分と相手の問題点が浮かび上がるかもしれません。
では、これらの点を一つずつ考え、会話が噛み合うようにできるか調べていきましょう。
交流分析とは?
これは、精神科医のエリック・バーンが提唱した心理療法です。
エリック・バーンは、「人が抱える悩みのほとんどは人間関係に発しており、人と人の関わりがうまくいけば、ほとんどの悩みは解決する」と考えました。
そこで、自分は他の人との交流をどのように行なっているかを分析し、個人の成長を促していく、それが「交流分析」です。
その交流分析には、7つの要素があります。
それは、
・自我状態
・対話分析
・ストローク
・人生態度
・時間の構造化
・ゲーム分析
・人生脚本
です。
この記事では、特に、「自我状態」と「対話分析」にしぼって、会話の成立を取り戻そうとしていきます。
自我状態とは?
自我状態とは、自分の中に存在するいくつかの「私」のことを言います。
そうです、一人の人間の中に、複数の自我が存在すると考えます。
その中に含まれるのは、P:Parent 親、A:Adult 大人、C:Child 子供という3つの自我状態です。
さらに、Pの中に二つ、Cの中に二つあるとしています。
それらをあげていきますと、
CP 厳しい私(厳格な父親のような自分)
NP 優しい私(思いやりのある母親のような自分)
A 考える私(理性的な大人のような自分)
FC 自由な私(自由な子供のような自分)
AC 合わせる私(順応的な子供のような自分)
となります。
私たちは、これら5つの自我状態を持っており、出来事や相手によって無意識に使い分けられている、というのが交流分析の中での考え方です。
考えてみると、確かに自分の中にこれらの側面があるように思われませんか?
これらが自分と、そして相手にもあると考えながら、対話をすることが必要になってくるのです。
それが、「対話分析」です。
対話分析とは?
交流分析では、私たちが他の人と会話する時、「自分の特定の自我状態から、相手の特定の自我状態にメッセージを送っている」と捉えます。
例えば、上の自我状態のP、A、Cを使うと、P→CとかA→Aという具合ですね。
そして、対話分析では、その矢印の向き(ベクトル)を重視します。
その矢印のパターンによって、次の2つの交流が生まれます。
相補的交流
下図をご覧ください。
https://ta.direct-comm.com/colums/seikatsu_006.htmlより引用
この矢印の向きの特徴は何でしょうか。
そうですね、すべて平行であるということです。
この状態を、「相補的交流」と呼んでいます。
この相補的交流が行われていると、会話がスムーズに運び、長続きする可能性があります。
そして、メッセージの送り手が、相手に受け入れられたという気持ちになるのも特徴です。
例えば、左上の、「明日の会議は何時開始だっけ?」というのは、A、つまり、単に情報を得たいという理性が働いています。
それに対し、同じ理性で答える、「10時だよ」と答えれば、投げかけられた言葉に対して、平行に返しています。
こういう会話をしている限り、気まずさやケンカは生まれませんよね。
交叉(こうさ)的交流
これも下図をご覧ください。
https://ta.direct-comm.com/colums/seikatsu_006.htmlより引用
今回の特徴は何でしょうか。
上の4つのうち3つは、矢印がクロスしていますね。
交叉しているということです。
右下のものは、交叉こそしていないものの、投げかけられた言葉に対して、別のところから相手に返していますね。
これも噛み合わない会話のパターンに入ります。
こういう交叉的交流の会話を行うと、その場で会話が途切れてしまうか、ケンカになりかねません。
ここも左上を例に取りましょう。
「明日の会議は何時開始だっけ?」と情報が得たくて理性で相手に言葉を投げかけたとします。
それに対し、「それぐらい自分で覚えておけよ」という、「厳しい大人」が「子供」に対して言うような態度で返答しています。
これでは会話がクロスしていますよね。
スムーズなコミュニケーションは生まれません。
交叉的交流を対策していく!
あなたと、会話が噛み合わないと感じる相手との会話を想像してみてください。
上の図に当てはめてみると、交叉していることが多くないですか?
交叉のパターンはたくさんあります。
P→Cに対してP→Cで返しても交叉しますよね。
ですから、まずは自分たちが行なっている会話を、交叉的交流から相補的交流にしていく必要があります。
相手が発した言葉は、どこからどこへの矢印なのかを判断します。
それに対し、平行になるように、合わせていくことが必要なのです。
この会話のきっかけはどこからどこへの矢印なのか、瞬時に判断するのはなかなか難しいですし、
それに対して平行になるような返し方はどうすればいいのか瞬時に判断するのも難しいです。
ですから、これは相当な慣れが必要です。
カウンセリングの現場では、これをホームワークとして、何週にも渡って練習してもらいます。
そして、問題がまた生じれば、カウンセラーと共に何が問題だったか考えていきます。
それぐらい慣れが必要なことですので、今からすぐにでも実践していかれることをおすすめしたいと思います。
終わりに
交流分析を自分一人で行なうのはけっこう至難の業です。
それで、カウンセラーに手伝ってもらうことは一つの近道になるでしょう。
でも、この知識を持っているのと持っていないのとでは、ずいぶん違いが生じると思います。
ご夫婦や親子で、一緒に対話分析を勉強して、お互いに矢印を並行にする努力をするのも効果的だと思います。
もちろん、コミュニケーションのすべてがこの交流分析で解決するかと言うと、そうではないかもしれません。
その場その場でうまくやりくりしていく必要がありますね。
またコミュニケーションについては記事を書きたいと思います。
一つの方法として、対話分析の相補的交流を目指されると、多くの問題は回避できるに違いありません。
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